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2018.05.24

【はちおうじ庭球塾ブログ】経験や知識は時に指導者の足かせになる?!

 はちおうじ庭球塾は、現行17:30~20:30でレッスンをしております。日々、なるべく早くコートに行くようにしておりますが、選手たちはもっと早く来ているみたいで。。。

 八王子テニススクール上野オーナーのご厚意もあり、レッスン前にコートが空いている場合、コートを早く使わせていただいております。今週の月曜日、17時過ぎにコートに着くと、既に全選手が打ち始めているではありませんか。ちゃんとアップしたのか?!と尋ねると、みんなちゃんとアップも個人的にやっていたらしい・・・。ボールも自分達でセットし、あさひコーチも、レッスン時間前にもかかわらず既に選手たちとヒッティングをしててくれました。

 ちゃんと時間前に到着したのに、なんだか申し訳ない気持ちで・・・。手前味噌ですが、特に何も指導していないのに、みんな少しの時間も無駄にすることがないよう、テニスに励んでおります。思わず写真を撮ってしまいました。こんな時間があるなら、早くレッスン始めてくれ、と言わんばかりですが・・・。

 特に今週の月曜日だけではなく、例えば今日も雨でレッスンを途中で切り上げましたが、終了後もちょっと雨が弱くなったら「打っていい??」と親御さんも既に迎えに来ている中、コートに戻ってテニスしてました。ホントにテニス大好きなんだな、と、思わされる瞬間です。

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 そんな選手たちの気持ちにしっかりと応えなければ、と思う日々ですが、先週末とあるニュースを見てて、とても考えさせられることが起きました。大谷翔平選手のニュースです。私は特に野球が詳しいわけではありませんが、アスレティックトレーナーととしての仕事柄もあり、毎日のようにテニスだけでなくあらゆるスポーツのニュースは注目して見ています。

 大谷翔平選手の代名詞は、二刀流。野球無知の私は、二刀流がどれほど大変ですごい事なのか分かりませんが、日本ハム入団後、そしてエンゼルス入団時も、あらゆる野球有識者たちが、「早く二刀流を辞めるべきだ」、と言っていたことを覚えています。今年のエンゼルス春季キャンプ時に、アメリカのベテラン野球記者が大谷翔平選手を酷評してましたが、開幕後の大谷選手の活躍後、自分の考え方は間違いだったとの発言をしたことも話題になりました。

 指導者は往々にしてどのように選手を指導しているのか?!私個人の見解ですが、やはり指導者個人個人の経験や知識で指導していると思います。所謂”良い指導”をする為に、指導者個人が培ってきた技術や経験、そして勉強した知識といったところ。しかしその経験や知識、実は時に指導において足かせになっているのでは?

 私個人は、はちおうじ庭球塾ではテニスコーチとして活動させていただいています。恥ずかしながら、テニス選手として大成しなかった私は、自分自身のテニス技術だけを元に指導をしていないつもりです。今まで出会ったテニスコーチや現役選手たちの考えや指導法も、参考にさせていただいております。これに関しては、テニス選手として大成しなかったことと同時に、とある先輩ATCから、かれこれ20年前に言われたアドバイスを下に、アスレティックトレーナーとしても仕事をしていることに繋がっています。

 「常に乾いたスポンジでいたい」。先輩ATCは、日本人第一人者の女性ATCとして活動しており、20年前でもアスレティックトレーナー界では有名人。10代後半で、これからアメリカにアスレティックトレーニングを学びに行こうと当時思っていた私にとっては、大大御所的な存在。そんな方から発せられた「常に乾いたスポンジでいたい」。衝撃的なお言葉だったので、あれから今でも常に私の頭の中心に位置している言葉です。

 経験も知識もある方が、その立場に甘んじることなく、常に新しいことを吸収していくという考え。そんな思いを今でも抱きつつ、ここで大谷翔平選手のニュース。所謂、有識者達がこぞって言っていた「二刀流は早くやめるべき」。その有識者たちの中でも、今でも勉強し続ける方や、現役の監督やコーチ達もいました。彼らも、常に新しいことを吸収していっている人たちと、会ったこともないけど、そういう方たちと勝手に思っています。

 如何にいろいろな事を吸収しているつもりでも、やはり自分の知識や経験内で話をしているのでは?!と、大谷翔平選手のニュースを見て感じている日々。要は、大谷翔平選手は今まで何千?といるプロ野球選手や有識者たちの人知を超えたことをしている。このような場合、誰が大谷翔平選手のコーチをできるのか?!

 いつも通り前述が長くなってしまいましたが、常に新しいことを吸収し続けているつもりでも、やはり指導者自身の経験や知識で選手たちに指導をしてしまう。その中に、指導者の人知を超えるポテンシャルを持っている選手がいた場合、どうすればよいのか?!

 どのスポーツでも、最終的には選手自身の感覚がすべて。感覚は目で見えるものではないので、様々な方法でその感覚を選手に伝えるのが指導者。アドバイスの仕方であったり、最近では動画解析を用いたり、選手に素晴らしい経験をさせるための環境整備をしたり。

 まだ始まって2ヶ月も経過していないはちおうじ庭球塾。しかし、みんな確実にレベルアップしています。私のアドバイス一つ一つが彼らをプラスにもマイナスにも導く。そんな責任重大なポディションにいる中で、自分の言っていることが、彼らの無限大の可能性を潰していないか?!そんな事を大谷翔平選手のニュースを見ながら感じておりました。

 他の指導者たちはどのように考えているのだろう?!幸いにもテニスをはじめ、様々なスポーツで指導をしている方たちが周りにたくさんいるので、めんどくさがられそうだけど・・・一度聞いてみよう。