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2018.01.31

テニス選手のコンディショニング

小学生の頃からテニスをしていた私にとって、一年中テニスをすることはごくごく普通のこと。春夏秋冬関係なく。夏は冬のレベルの高い大会で良い位置に行けるようにポイントを稼ぎ、冬は東京ジュニアに向けランキングを上げ、春は東京ジュニア。そこを突破し、夏の関東ジュニア、全日本ジュニアに向けて!!といった具合だ。

アメリカの大学に行って初めてスポーツにシーズンがあることを知った。オフシーズンで身体を作る。インシーズン・ポストシーズンまで戦い抜ける身体を作る為。プレシーズンでトレーニング量を減らし、その分技術練習の時間が多くなり、そしてインシーズンが始まる。そして多くの選手は、インシーズン・ポストシーズン後、オフを取り、次のオフシーズンからまた身体を作り始めるといった具合だ。

テニスはこのようなシーズン制がないように思える。良くも悪くも一年中できるスポーツ。そして一年中試合があるスポーツでもある。ジュニアでもシニアでも、多くの試合に出てランキングを上げるという目標に変わりはない。いつがオフシーズンで、いつがインシーズンか?正確な定めはないのが現状であろう。

「ピーク」という言葉がある。例えば来週から始まる平昌オリンピック。4年間という時間をかけ、選手たちがここにピークを持っていくことは言うまでもない。ピークというのは文字通り”てっぺん”。身体的にも精神的にも、自分自身のパフォーマンスが最大限発揮できる状態。言い換えれば、それはある一時の一瞬でしかないのだ。一年中試合があり続けるテニス選手にとって、ピークを持ち続けることは事実上難しい。もちろん、選手個人で「この試合に向けて準備をしてきた」という状況はあるが。

ナダルが先の全豪オープンを怪我を理由で途中リタイアした。ナダルだけでなく、多くのトッププレーヤーが怪我で苦しんでいる現状を鑑み、とあるニュースで、ナダルが「ツアーを運営している側が、今の状況を考えるべきだ」と述べたと聞いた。もちろん本人から直接聞いたわけではないが、大会数の多さ。それにコンディションを合わせる難しさを大会側に言ったのだろうと、私は解釈している。

それとは裏腹に、ここ近年、一昔前より選手寿命は確実に伸びている。全豪オープンを優勝したのはフェデラーだ。日本人プロでも、30代はもちろんのこと、40代の現役プロテニス選手もいる。これはいったいどう解釈すべきか。

実は、今回の内容はトレーナーとしての難しさを日々感じているという、自問自答的な内容でありまして・・・。大学で学んだトレーニング理論は、シーズン制の上に成り立っていた。オフシーズン・プレシーズン・インシーズンでトレーニング種類、負荷やセット数が違うのだ。これをテニス選手に当てはめることが難しい。

もう一つ難しいのが、怪我をした場合。例えば、アスレティックトレーナーとして怪我の評価をし、数日安静にしトリートメント・リハビリをすれば大丈夫だろう、というケースが良くある。それを選手に伝えると「今週末試合です」と、お決まりの言葉。年間スケジュールを見ても、どこで休ませれば良いか頭を悩ませる。

休ませたい。が、選手はランキングのことで頭がいっぱい。不完全のコンディションのままトーナメントに出場。結果、試合も勝てず怪我も改善しない。むしろ悪化してしまうケースも。こんなことが日常茶飯事で起きている。

選手のコンディショニングや、怪我をした場合のリカバリー計画は本当に”正解”が分からない。それは選手のレベルや目標によっても異なる。フェデラーがフレンチオープンをはじめとした、クレーシーズンを去年完全にスキップ。出る試合を限定し、コンディションを整える。推奨される新しい方法だが、難点が一つ。出場できる試合で、勝てる!!という絶対的実力があるフェデラーだからできる方法とも言える。試合勘などをも考慮すると、長期に休むことを多くのテニス選手は不安で実現することは難しいだろう。

テニスのトレーナーとして活動する以上、永遠に付きまとう課題になるが、自分なりの答えを見つけ、選手にフィードバックできるように努めていきたい。

今度、テニス選手のトレーニング状況についても書いてみたい!!

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写真は、早朝からトレーニング励む田村プロと長坂店長^^